TCGまいログカフェにようこそ! 第四話:裏物語(表)

円華さんとの決闘、そういえば円華さんと戦うのは今回が初めてになる。

円華「さて、始めようか。」

いつも通り、柔らかな笑顔を絶やすことなく円華さんは告げる。

すぅ「よろしくお願いします。」

円華「うん、それじゃあコイントスだ。」

指で弾かれたコインは綺麗な軌跡を描いてテーブルの上に落ちる。

円華「表、先行はボクがもらうよ。…さて、どうしたものかな。モンスターをセット、おろかな埋葬を発動。デッキからティンダングル・ジレルスを墓地に送る。」

ロック「ティンダングルでござるか。」

シフォン「アニメでも出ていたテーマですわね。」

円華「そして、カードを一枚セット。うん、ボクはこのままターンを終了するよ。」

すぅ「えっ。」

伏せカード一枚と、墓地のジレルスとセットモンスターに残りハンドが2枚?

まい「昨今のリバーステーマとしては控えめな動きね。」

シフォン「どう出るつもりかしら。」

不明な情報が多いけど、やることは変わらない。なら、いつも通りに動くしかない。

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すぅ「…私のターン、ドロー!私は、手札からEMギタートルをPゾーンにセッティング!

続けてEMリザードローを反対のPゾーンにセッティングします!

ギタートルの効果!反対のPゾーンにEMがセットされたことで一枚ドロー!続けてPゾーンのリザードローの効果で自身を破壊してもう一枚ドロー!」

ロック「連続で手札交換でござるか、これはなかなかの滑り出しですぞ。」

シフォン「ペンデュラムはフィールドのPゾーンにペンデュラムモンスターをセットして、一度に複数のモンスターを特殊召喚する事が可能ですわ。

融合やシンクロ、エクシーズとはかなり違った動きをしますの。

そして、フィールドのペンデュラムモンスターが墓地に行く場合は墓地へ送られずにエクストラデッキに表側で置かれ、再びペンデュラムする場合にはスケールの範囲内であればペンデュラム召喚可能という変わった特性を持っていますわ。」

ロック「その分、リンク召喚実装後は色々な制約を受けていたでござるがな。」

まい「そうだねー、マスタールールの改定でPゾーンが魔法罠の両端と一緒になっちゃって、エクストラデッキから出す場合は、エクストラモンスターゾーンか、リンクモンスターのリンク先のみとシステムとして弱体を受けていたし…。すぅの展開も、うまくいくといいんだけどね…。」

確かにシステムとして大きく弱体化されてしまったのは事実、でも、ペンデュラムはそれを補って余りある力を持っているんだから!

すぅ「空いたPゾーンにEMユーゴーレムをセッティング!さぁ、行きますよ…!」

円華「おっと、その前にこのカードを使わせてもらおうかな!ユーゴーレムをセッティングしたタイミングで速攻魔法、神の写し身との接触を発動!手札のシャドール・ビーストとシャドール・リザードの2体で融合召喚をするよ!出でよ!エルシャドール・ミドラーシュ!」

すぅ「ミドラーシュ?」

ロック「特殊召喚を1ターンにつき一回に制限する永続効果と相手からの効果破壊に耐性を持つモンスターでござる!すぅ殿がペンデュラム召喚をした場合、その後の特殊召喚はミドラーシュを除去するか効果を無効化しない限り一切できなくなりますぞ!」

すぅ「!!?」

特殊召喚回数を制限するモンスターってなにそれ!?しかも効果破壊耐性持ち…。


まい「魔の9期で初めに暴れまわったからねぇ…シャドールは。制限改訂の度に流れるネフィリム返しては懐かしいワードだったね。」

ロック「溢れかえるネフィリム返しておじさんは語り草ですなぁ。」

すぅ「いやそういうこと話すタイミングじゃないから!?」

円華「さて、いいかな?融合素材として墓地に送られたリザード、ビーストの効果がそれぞれあるからね。リザードをチェーン2、ビーストをチェーン1だ。リザードの効果でデッキから影光の聖選士を墓地に、そしてビーストの効果で一枚ドローするよ。さあ、そのままペンデュラムするかい?」

手札を確認する…、大丈夫、この手札なら乗り越えられるはず!

すぅ「勿論です!ペンデュラム召喚!スケールは1から6!よってレベル2からレベル5までのモンスターが召喚可能!エクストラデッキからリザードロー!手札からEMペンデュラム・マジシャン!そして…、おいで!私の銀の爪!EM シルバー・クロウ!計3体をペンデュラム召喚!!」

シフォン「犬が出てきましたわね。」

ロック「犬ですな。」

まい「イヌヌワry」

すぅ「やめて!?」

◯天堂にこれ以上喧嘩ふっかけないで!?消されるから!

円華「外野は兎も角として、これで君はこのターン特殊召喚が一切できなくなったけどどうするつもりかな?」

すぅ「それはこれから見せてあげます!ペンデュラム・マジシャンの効果!Pゾーンのカードを2枚まで破壊してEMをサーチ!ユーゴーレムとギタートルを破壊!デッキから…EMパートナーガとEMドクロバット・ジョーカーを手札に!続けてドクロバット・ジョーカーを召喚!ドクロバット・ジョーカーの効果!デッキから2枚目のEMパートナーガをサーチします!」

円華「2枚目のパートナーガ…。」

すぅ「そのまま2枚のパートナーガをPゾーンにセッティング!パートナーガの効果を使います!シルバー・クロウの攻撃力を…場のEMカードの数×300上昇させます!」

円華「成程ね、確かに面白いな!パンプアップで高打点にしたシルバー・クロウで盤面をこじ開けるつもりだね!」

すぅ「私の場にはシルバークロウ1体、リザードロー、ペンデュラム・マジシャン、ドクロバット・ジョーカー、パートナーガ2枚、計6枚のEMカードがあります!よってパートナーガの一回の効果でシルバー・クロウの攻撃力は1800アップ!そしてそれを二回!よってシルバー・クロウの攻撃力は3600アップ!」

ロック「攻撃力5400のシルバー・クロウ!?なんでござるかそのデタラメな火力は!?」

シフォン「それだけじゃありませんわ。」

すぅ「シルバー・クロウは攻撃宣言時に場のEMの攻撃力を300アップさせる効果も持ってます!つまり、攻撃宣言時には5700!ミドラーシュの上から3500のダメージを叩き込みます!」

円華「なかなか楽しくなってきたね!」

すぅ「バトルです!パンプアップしたEMシルバー・クロウでエルシャドール・ミドラーシュを攻撃!攻撃宣言時にシルバー・クロウの効果で場のEMの攻撃力を300アップ!切り裂け!私の銀の爪(シルバークロウ)!!」

この攻撃を叩き込んで、あとはドクロバットとペンデュラム・マジシャンで畳み掛ける!

円華「…うん、このカードを用意しておいて正解だったよ。」

すぅ「?」

え?場に伏せカードは…、

円華「墓地の影光の聖選士とシャドール・リザードを除外して影光の聖選士の効果を発動するよ。」

ロック「墓地で発動可能な効果を持つ罠カードでござるか!」

円華「その通りさ、このカードの墓地での効果は自分フィールドの表側モンスターを裏守備にするか、裏守備モンスターを表側守備にする効果なんだけど、今回は後者の効果を使わせてもらうよ。セットモンスターを表側守備表示に変更、リバースしたのはティンダングル・エンジェル。」

すぅ「ティンダングル・エンジェル…?」

シフォン「ハァ…そういうことですのね…。」

円華「リバースしたエンジェルの効果で墓地からティンダングル・ジレルスを裏側守備表示で蘇生。そして…この効果がバトルフェイズ中に発動した場合、バトルフェイズを強制終了する!!」

すぅ「嘘!?」

ロック「バトルフェイズの強制終了!高火力で殴りかかるEMには致命的でござる!」

まい「それどころかミドラーシュの突破すら出来なかった。…これはかなりの痛手かもねー。」

ミドラーシュさえ突破できればまだ次の動きの芽を残せたのに…!

焦りからか手の傷の痛みがじんわりとまた強くなる。

すぅ「わ、私はこのままターンエンド…。場のモンスターの攻撃力は元に戻ります…。」

リザードローは低い火力を晒さないために守備表示にして出してたけど…それでも返しのターンでの相応のダメージは免れないだろう。

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円華「なかなか悪くない切り口だったけどね…。でも、まだ甘いかな。行くよ?ボクのターン、ドロー。まずは、さっき特殊召喚したティンダングル・ジレルスを反転召喚。ジレルスの効果でデッキからティンダングル・イントルーダーをサーチ。ミドラーシュがちょっと邪魔だね…。ミドラーシュをリリース、イントルーダーをアドバンス召喚。ミドラーシュの効果とティンダングル・イントルーダーの召喚時効果が同時に発動。墓地から接触をサルベージ、デッキからティンダングル・ドロネーを墓地に送る。さて、次はこれだ。ジレルスとイントルーダーでリンク、シャドール・ネフィリム。」

すぅ「シャドールのリンクモンスター?」

ロック「出すのは少々大変でござるが、効果は普通におかしいでござるからな。」

円華「シャドール限定の融合を内蔵したリンクモンスターさ。シャドール・ネフィリムの効果で手札の影霊の風 ウェンディとシャドール・ネフィリムを融合。エルシャドール・ネフィリム。」

まい「やっぱ何回聞いてもややこしい(´・ω・`)」

シフォン「エルの2文字が消えただけで全く別のモンスターで、融合モンスターかリンクモンスターに分かれますものね。」

円華「まあ、そういうものだと諦めてもらうしかないかな…?ネフィリムの効果とウェンディの効果が同時に発動。ネフィリムの効果でデッキから圧縮を兼ねてリザードを落とし、リザードの効果で2枚目の影光の聖選士を墓地に、ウェンディの効果でデッキから影依の巫女 エリアルを裏守備でリクルート、裏守備でモンスターが特殊召喚された事でイントルーダーが自身の効果で墓地から特殊召喚される。」

すぅ「何その動き…。」

円華「さて、もう少し動いてみるとしよう。墓地のシャドール・ネフィリムの効果を発動。エルシャドール・ネフィリムを墓地に送り、シャドール・ネフィリムを自己再生。」

ロック「ややこしすぎでござろう!?」

円華「うん、ボクも同じこと思った。エルシャドール・ネフィリムは今回は効果を発動しないよ。さて、続けて墓地の聖選士とネフィリムを除外して効果、エリアルをひっくり返す。エリアルの効果で今度は除外されてるネフィリム特殊召喚。」

すぅ「あっ。」

円華「気づいたかい?そう、エルシャドール・ネフィリム特殊召喚した時の効果に『名称での1ターンにつき1回の制限』がない。つまりもう一度デッキからシャドールを墓地に送れる。今度はデッキから影依融合を墓地に送る。」

この時点で円華さんの盤面には、ティンダングル・エンジェル、裏守備のティンダングル・イントルーダー、シャドール・ネフィリム、影依の巫女 エリアル、エルシャドール・ネフィリム。円華さんはこれだけの動きをしながら、エクストラモンスターゾーンを空けて展開している。ハンドにはドローしたカードと接触

円華「エリアルとエンジェルでリンク。リバースモンスター2体、サブテラーマリスの妖魔。さて、実は僕の手札には残念なことリバースモンスターがいない。だからまずはこうしよう。ネフィリム2体でリンクしてリンク2、トロイメア・フェニックス。妖魔のリンク先、真ん中に出させてもらうよ。そして、手札から接触を捨ててトロイメア・フェニックスの効果とエルシャドール・ネフィリムの効果が同時に発動。ネフィリムの効果で墓地から影依融合をサルベージ!フェニックスの効果でスケールのパートナーガを破壊させてもらうよ!」

シフォン「…!すぅのフィールドにはエクストラデッキからペンデュラム召喚したリザードローがいますわ!このまま影依融合を回収したらデッキ融合されますの!」

デッキ融合をされれば新しいネフィリムが来るのは想像に固くない。表示形式を変更するカード……恐らくADチェンジャーを素材に出てくるはず……!

この局面を乗切る方法……何か、何か……!あっ!!

すぅ「っ!この瞬間!自分フィールドのカードが戦闘、効果で破壊されたことで手札からクロノグラフ・マジシャンの効果を発動!」

円華「……クロノグラフ制限カードをもっていたのか!」

すぅ「私はクロノグラフ・マジシャンを手札から守備表示で特殊召喚!そしてこの効果で特殊召喚に成功した時、手札からモンスター1体を特殊召喚できます!私は2枚目のペンデュラム・マジシャンを守備表示で特殊召喚!そしてそのままペンデュラム・マジシャンの効果!もう1枚のペンデュラム・マジシャンとリザードローを破壊して、デッキから2枚目のリザードローとEMオッドアイズ・ディゾルヴァーをサーチ!」

円華「エクストラデッキからでていたリザードローを破壊して影依融合によるデッキ融合を阻止、そして同時にサーチを行うなんて…。ハハハ…これは驚いたね。こんな動きができるようになっていたんだ、すぅ君。」

すぅ「…私も此処で試合をただ眺めていたわけじゃないですから。」

……幼女に盤面で虐殺された回数は数えしれない。

円華さんの盤面はサブテラーマリスの妖魔と、トロイメア・フェニックスと裏守備のイントルーダー。

対して私はシルバー・クロウ、ペンデュラム・マジシャン、クロノグラフ・マジシャン、ドクロバット・ジョーカーとPゾーンにパートナーガ。

まだ、まだ喰らいついていけるはず!

まい「よく今のデッキ融合を回避したねー。まあ、伊達にここでバイトしてないか。」

シフォン「当然ですの。」

円華「さて、これは困った。イントルーダーをひっくり返す手筈を失ってしまった。今回は破壊しないが正解だったね。」

シフォン「相手の目論見を大きく崩せたのはやはり大きいですわ。」

円華「まだ使う予定はなかったんだけど…、このカードを使うとしよう。魔法カード、貪欲な壺。エルシャドール・ネフィリム、シャドール・ビースト、影依の巫女 エリアル、シャドール・リザード、ティンダングル・ジレルスの計5枚をデッキに戻して2枚ドローするよ!」

ロック「このタイミングでなんてものを握っているでござるか!?」

円華「ふむふむ、それじゃあこの手で行ってみよう。ようやく……ティンダングルとしてしっかり動けそうだからね。手札からメールの階段を発動!」

すぅ「メールの階段?」

シフォン「ティンダングルのメインエンジン…まさかそれをここで引いてくるなんて…。」

円華「さあ、動くよ?手札からティンダングル・ドールスを捨てることで効果発動、イントルーダーを表側攻撃表示に変更する!」

すぅ「イントルーダーがリバースした!?」

円華「イントルーダーのリバース効果とサブテラーマリスの妖魔の効果、そして墓地のドールスの効果が3つ同時に発動!イントルーダーでデッキからティンダングル・ベース・ガードナーをサーチ、続けて妖魔の効果でティンダングル・アポストルをサーチ!そしてドールスの効果で墓地のエンジェルを裏守備で蘇生!」

すぅ「え、えええ!?」

なんでよ!?デッキ融合は阻止したのになんで動けてるの!?

円華「まだまだ!裏側守備表示のモンスターがいることで手札に加えたティンダングル・ベース・ガードナーを特殊召喚。ベース・ガードナー、フェニックス、イントルーダーの三体でリンク召喚さ!来い!リンク4、ヴァレルガード・ドラゴン!

続けてサブテラーマリスの妖魔の効果、デッキからシャドール・ヘッジホッグを墓地に送り、手札から妖魔のリンク先にアポストルを裏側守備表示で特殊召喚。シャドール・ヘッジホッグの効果で2枚目のウェンディをサーチ。ヴァレルガード・ドラゴンの効果でアポストルをリバース。アポストルの効果でエンジェルをリバースしてデッキからティンダングル・ドロネーをサーチ!リバースしたエンジェルの効果でドールスを裏守備で特殊召喚!もう一度メールの階段の効果!今度はドロネーを捨ててドールスをリバース!」

すぅ「1ターンに1度の制限がないってどういうこと!?」

シフォン「残念ながら事実ですの。メールの階段は一度メールの階段で捨てた同名ティンダングルはそのターン捨てれない代わりに、別のティンダングルを捨てることで何度でも表示形式を変えることができますわ。」

円華「ドールスはリバースした時にデッキから好きな魔法か罠を墓地に遅れる。この効果でボクは3枚目の影光の聖選士を墓地に送るよ。……さあ、君のシルバー・クロウより僕のワンちゃんの方が優秀だって証明してあげよう!アポストル、ドールス、エンジェルでリンク召喚!リンク3!ティンダングル・アキュート・ケルベロス!」

シフォン「アキュート・ケルベロス…。」

円華「さて、実はドールスにはもうひとつ効果がある。アキュート・ケルベロスのリンク素材になった場合、アキュート・ケルベロスはモンスターに三回攻撃が可能になる!」

すぅ「!!?」

ふぅ、と一息つく円華さん。

円華「それじゃあバトルフェイズだ。痛いから覚悟してよ?」

盤面には妖魔、ヴァレルガード、アキュート・ケルベロス、メールの階段、手札には影依融合。周りの人達は円華さんの展開ぶりに驚かされる一方だ。

ロック「普通こんな針の穴を通すかのように正確な展開出来ないでござる。」

シフォン「余程構築力の高いデッキに仕上げていたとしか言えませんわね。」

円華「ティンダングル・アキュート・ケルベロスでまずはドクロバットを攻撃!1200ダメージ!」

すぅ「痛い!」

円華「2回目!次はシルバー・クロウに攻撃!同じく1200ダメージだ!」

すぅ「きゃああ!」

円華「3回目は守備表示のクロノグラフ!次だ!サブテラーマリスの妖魔で守備表示のペンデュラム・マジシャンを攻撃!」

手の痛みが感覚を無理やり研ぎ澄ませてくる。…だからこそ、使いどころを見極められる!

すぅ「ここです!ダメージステップ開始時に手札からEMオッドアイズ・ディゾルヴァーの効果!ペンデュラムモンスターが戦闘を行う場合にこのカードを特殊召喚し、ペンデュラム・マジシャンはその戦闘で破壊されません!」

円華「成る程、守備表示のモンスターを増やしてこの場を凌ぐ考えだね。」

シフォン「場にはペンデュラム・マジシャンとディゾルヴァー…相手の攻撃はあと一回、少なくとも一体は残せますわ。」

円華「ヴァレルガードでディゾルヴァーを攻撃だ。」

すぅ「……。」

円華「さて、残りライフは5600かな?バトルフェィズ終了時にケルベロストークンを一体生成できるけど、今回はなしにしておくよ。メインフェイズ2、サブテラーマリスの妖魔とアキュート・ケルベロスでリンク。双穹の騎士 アストラム。さあ、ボクはこれでターンエンドだよ?」

ヴァレルガードのリンク先にアストラムを立てた円華さん。あれだけ動いて結局盤面はヴァレルガードとアストラム、メールの階段のみになっている。

でも、なんで態々ヴァレルガードのリンク先にアストラムを立てたの…?

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すぅ「私のターン、ドロー!」

盤面にはPゾーンにスケール3のパートナーガ、手札にはさっきサーチしたリザードロー、初手からあったオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン、今引いたオッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン、このハンドで動くなら…!

すぅ「まずはEMリザードローををPゾーンにセット、リザードローの効果で自身を破壊してカードをドローします!」

引いたのは…、EMユーゴーレム。

でもこの状態では、当然アストラムに攻撃力で勝つことは出来ない。だから……、


すぅ「続けてオッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴンを同じ場所にセット、ペンデュラム召喚!スケールは3から8、よってレベル4から7のモンスターが召喚可能!エクストラデッキから再びEMペンデュラム・マジシャン!手札から2枚目のEMユーゴーレム!そしてオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!」

シフォン「3体しか呼び出せていませんわ。何か召喚してリンク先を増やした方が良かったのではなくて?」

すぅ「ううん、これで大丈夫。ペンデュラム・マジシャンの効果!パートナーガとアークペンデュラムを破壊してEMを2枚サーチ!

加えるのはEMシルバー・クロウとEMオッドアイズ・ユニコーン!2体のEMペンデュラム・マジシャンでリンク召喚!現れよ!ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム!」

ロック「ガチカードでござる!!」

シフォン「ペンデュラムデッキでは基本必須カードですものね…。」

すぅ「エレクトラムのリンク召喚成功時の効果でデッキからエクストラデッキにアストログラフ・マジシャンを加えます!」

まい「そして絵に描いたかの如き強ムーブ(´・ω・`)」

すぅ「オーナー!」

ロック「すぅ殿も大変でござるな…。」

すぅ「ユニコーンをPゾーンにセット、エレクトラムの2個目の効果!ユニコーンを破壊してアストログラフ・マジシャンを手札に加えます!そしてアストログラフの効果で自身を特殊召喚!デッキから2枚目のユニコーンを手札に!そしてそのまま再びセッティング!」

円華「レベル7のモンスターが2体…。」

すぅ「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンとアストログラフ・マジシャンでエクシーズ召喚!オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン!」

ロック「モンスターが段々EMからオッドアイズに変わっているでござるな。」

シフォン「EM、オッドアイズ、そして魔術師は密接に関わり合うテーマですの。中にはカテゴリの名前だけで構成されるようなモンスターもいますわ。」

円華「何をする気かわからないけど、ここで使っておくよ。ボクは墓地からティンダングル・ドロネーを除外して効果!エクストラモンスターゾーンに自分のモンスターが居ない時に発動できる効果だ。墓地からティンダングル・エンジェル、ティンダングル・ジレルス、ティンダングル・アポストルを裏側守備表示で特殊召喚させてもらうよ!

もう分かってると思うけど、仮にアストラムを突破できる手立てがあっても、バトルフェィズはヴァレルガードとエンジェルがいれば強制終了になる。」

さっきのターンもティンダングル・エンジェルによって戦闘を妨害されてしまった。

円華さんが敷く盤面はとても強固な布陣だ。

誘発効果での表示形式変更と効果破壊に耐性を持つヴァレルガード、対象に取れず戦闘にも実質耐性があり、墓地に行けば対象を取らないデッキバウンスを行うアストラム。そしてバトルフェィズを終わらせるティンダングル・エンジェル。

でも、今回は違う。ヴァレルガードも、アストラムも、エンジェルも突破できる。

なぜならーーー!

すぅ「私は手札からEMシルバー・クロウを通常召喚!」

ロック「ここでシルバー・クロウ?」

すぅ「EMユーゴーレムの効果!ペンデュラム召喚したターンのみに発動できる効果で、自分フィールドから融合モンスターによって決められたこのカードを含む融合素材モンスターを墓地に送って融合召喚をします!ただし、融合素材モンスターはドラゴン族のみです!」

円華「まさか……。」

すぅ「私はEMユーゴーレムとオッドアイズ・アブソリュート・ドラゴンで融合召喚オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン!!」

円華「しまった!」

すぅ「ボルテックスは融合召喚成功時に相手のモンスター一体を対象にバウンスする効果があります。もちろん対象はヴァレルガード!そして、墓地に送られたアブソリュートの効果も同時に発動!エクシーズ召喚したアブソリュートが墓地に送られた場合、エクストラデッキからオッドアイズモンスターを一体特殊召喚します!」

円華「アブソリュートにチェーンしてヴァレルガードの効果!バウンスされる前にボルテックスを守備表示にさせてもらうよ!」

すぅ「ボルテックスの効果!」

円華「いいや、出来ない!ヴァレルリンクモンスターが持つフリーチェーンの誘発効果は相手にチェーンされない効果を持つ。よってボルテックスのエクストラデッキからペンデュラムモンスターをデッキ戻すことで使える無効化効果は使えない!」

すぅ「そうだった!」

おおお!とどよめくお客さん達。私と円華さんの決闘はいつの間にかお店にいた人たちを皆引き寄せていた。

すぅ「けど、ボルテックスを守備にされてもアブソリュートの効果は止まりません!!エクストラデッキから出すのはオッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン!」

こちらの盤面はエレクトラム、守備表示のボルテックス、シルバー・クロウ。こちらが突破できるのは3体までだ。

すぅ「バトルです!オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴンで双穹の騎士 アストラムを攻撃!」

円華「攻撃力2500で?」

すぅ「攻撃宣言時にPゾーンのEM・オッドアイズ・ユニコーンの効果!オッドアイズモンスターが戦闘を行う場合、自分フィールドのEMモンスターを対象にし、バトルフェィズ終了時まで対象モンスターの攻撃力分上昇させます!対象はEMシルバー・クロウ!よって攻撃力は1800上がって4300!」

円華「忘れたのかい?アストラムは特殊召喚したモンスターと戦闘する場合、そのモンスターの攻撃力分自身の攻撃力をあげてしまう。結局君が3000ダメージの返り討ちに…、」

すぅ「いいえ、…メテオバーストがフィールドにいる間、相手はバトルフェイズ中モンスター効果を使えません!!

今こそ雄叫びをあげなさい、シルバー・クロウ!メテオバーストでアストラムを戦闘破壊します!」

円華「くっ…!」

すぅ「当然、戦闘破壊されたアストラムもメテオバーストの効果でバウンス効果は使えません。そして、裏守備のリバースモンスター三体もです。」

円華「やってくれたね…すぅ君。」

すぅ「シルバー・クロウで一体目の裏守備に攻撃!攻撃力は自身の効果で効果で2100!続けてエレクトラムで攻撃!」

円華「一体目に破壊されたのは守備1800のエンジェル、2体目は守備1600のアポストルだ…。残ったのはジレルスだね。ボクのライフは…6700か。」

すぅ「いいえ、まだです!メインフェイズ2!手札からPゾーンにEMエクストラ・シューターをセット!」

円華「!?」

すぅ「エクストラ・シューターのペンデュラム効果はエクストラデッキの表側表示のペンデュラムモンスターの数✖︎300のダメージを与える効果!今私のエクストラデッキには…17枚のモンスターがいます!よってダメージは5100です!」

ロック「えげつないバーンダメージでござる!」

シフォン「展開してカードを貯めてからのエクストラ・シューター…このダメージは大きいですの。」

円華「ぐ…、うわぁぁぁ!」

感嘆の声がお客さん達から上がる。

アストラムとヴァレルガードはなんとか退けたけど、もう私はこれでこのターンは文字通り弾切れ。

でも、次のターンが回ってくれば、エクストラ・シューターの効果で勝てる…!

すぅ「私はこれでターンエンドです。」

…唯一の無効化効果を持つボルテックスの効果を使うタイミングはしっかり考えないといけない。そしてエクストラデッキからデッキに戻すカードも。

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円華「…本当に、楽しくなってきたよ。ボクは君の盤面にいるオッドアイズ・ボルテックス・ドラゴンの無効化効果を一回乗り切った上で突破しないといけない、そしてエクストラ・シューターを破壊せずターンを渡せばボクはバーン効果で敗北する。」

再びふぅと息をつく円華さん。

円華「さて、ちょっと話を変えて、ボクも一つ告白をしよう。」

すぅ「?」

円華「…ここで君と再会した日についてだよ。」

まい「……。」

円華「…ボクも君と同じだ…、情けないことにボクもまた…君に嫉妬していたんだからね…。」

すぅ「?」

どうして…円華さんが…?

シフォン「……。」

円華「君がここでオーナーさんやシフォン君と楽しそうに過ごしているのを見た時、…多分ボクは嫉妬した。いや、君よりも自覚していたんだ。」


なんで?円華さんがどうして私なんかに嫉妬するの?


シフォン「だからあの小学生の宿題を横取りした…ですのね?」

円華「そうだよ。」

すぅ「なんで…ですか。」

円華「簡単なことだよ。君がボクから抜け出せなかったように、ボクもまた君から抜け出せなかった。……もっと言うなら、依存されたままでいたかった、が答えなんだろうね。どこか出来の悪い頃の君に頼られていたかった…。でも、葉月ちゃんやロックさん、様々な人と接せられるようになった君を見て、ボクは嫉妬したんだよ。」


円華さんの言葉が呼び起こされる。

誰もが自分の感情を綺麗に割り切ることなんてできない。…あれは、自分にも言っていたんだ。

穏やかな笑みを浮かべて円華さんは言った。

その暗い翠の瞳には…。しっかりと決意が見えた。


円華「でも、もう大丈夫。ボクもこの決闘で…しっかりと答えを出すよ。

何でもは知らない…知ってることだけ。

でも、今ここで出すべき答えくらいは…分かるからね!

さぁ、ボクのターンだ、ドロー!それじゃあこのカードからスタートするとしよう!手札から影依融合を発動!」


デッキ融合でネフィリムが盤面に降りて攻撃してくればバトルフェイズ中はメテオバーストの効果で強制破壊効果は使えない…。つまりそのままメテオバーストは為す術なく戦闘破壊されてしまう。シャドール・ドラゴンを墓地に送られればエクストラ・シューターも破壊されてしまう!


すぅ「……!ボルテックスの効果!デッキからEMパートナーガを戻して影依融合を無効!」

円華「なら次だ!ボクは墓地にあるティンダングル・ドロネーの効果を発動!エクストラモンスターゾーンに自分のモンスターがいない時…墓地からティンダングル三体を裏守備で蘇生する!蘇生するのはアポストル、ドールス、エンジェル!」

すぅ「いつの間に二枚目が!?」

シフォン「さっきのターンですの。メールの階段で何度も動いている時に2枚目のドロネーをサーチしてメールの階段で墓地に送っていたのですわ。」

円華「さあ、次々行こう。裏守備でモンスターが蘇生されたことでイントルーダーを裏守備で特殊召喚。ジレルスを反転召喚、ティンダングル・トリニティをサーチ。トリニティをメールの階段の効果で捨てて、アポストルを表側攻撃表示に、アポストルの効果!ドールス、イントルーダー、エンジェルをリバースして三枚ティンダングルをサーチ!」

ロック「三枚サーチなんて聞いたことないでござるぞ!?」

円華「加えたのはドールス、ドロネー、ティンダングル・ハウンド!その後リバースしたイントルーダーとドールスの効果だ!イントルーダーでベース・ガードナーをサーチ、ドールスの効果でナーゲルの守護天をデッキから墓地に送る!ナーゲルの守護天の効果!手札のドロネーを捨て自信を墓地から除外することでデッキから2枚目のナーゲルの守護天をサーチ!そして発動!」

まい「ガンガン動くね。」

円華「イントルーダーとエンジェルをリリース。モンスターをセット。」

すぅ「アドバンスセット?」

円華「その通り。手札から加えたドールスを捨ててメールの階段の効果!ハウンドをリバース!リバースした時の効果はモンスター一体を対象にして自分の攻撃力をその分上げ、対象を裏守備にする!もちろん対象はメテオバーストだ!」

すぅ「メテオバーストが裏守備に…。」

円華「これで厄介な効果は消えたね。ハウンドは効果処理後に攻撃力5000だ。そして切られたドールスの効果で墓地からトリニティを裏で蘇生するよ。最後だ、ベース・ガードナーを切ってトリニティをリバース。トリニティ、ドールス、ジレルスの三体でもう一度リンク召喚!当然出てくるのは三回攻撃のティンダングル・アキュート・ケルベロス!」

すぅ「またドールスを素材に…!」

円華「それだけじゃない。デッキからトリ二ティの効果でジェルゴンヌの終焉を加え、影依の原核を落としてその効果で神の現し身との接触を回収する。さぁ、最後のバトルフェイズだ。」

すぅ「最後…?ティンダングル・ハウンドは攻撃力5000だけど、モンスターを全部倒すならボルテックスを攻撃するしかないはずです。ケルベロスで他の三体を攻撃しても1200+1200+500で2900ダメージ、

ハウンドでメテオバーストを攻撃してアキュートでシルバー・クロウとエレクトラムを攻撃しても2500+1200+1200で4900ダメージ、それなら私の残りライフ5600には届かな…、」

円華「それはどうかな?」

すぅ「えっ?」

まい「それはどうかなと言えるデュエル哲学。」

シフォン「お約束ですの。」

ロック「もはや定番でござるな。」

円華「ナーゲルの守護天は…1ターンに一度だけ、ティンダングルモンスターの戦闘ダメージを倍加させるんだ。」

すぅ「それって…。」

円華「ティンダングル・ハウンドでEMシルバー・クロウに攻撃!与えるダメージは3200の倍…6400!これで…ゲームエンドさ!」

すぅ「え…え…えええ!!?きゃあああ!……ま、負けた…。」


でも、勝敗が決した瞬間、自分の中でずっと固まってた何かが…やっとほぐれたような気がした。

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ロック「いやー、なかなかの試合でござったな。円華殿の攻撃のいなし方もなかなかでござるが、すぅ殿の追い上げも見事でござったぞ?」

シフォン「ちゃんと戦えてましたわね。初っ端からミドラーシュとエンジェルで引っかかった時はどうしましょうと思いましたわ。」

すぅ「うぅ…ごめんなさい…。」


試合が終わってから私たちはカウンターで珈琲を啜っていた。


シフォン「でも、少しはスッキリしたのではなくて?」

円華「そうだね…、ボクも清々しい気分さ。」

すぅ「私も…どこかスッキリしました。」


…あったことは変えられないけど、でも、これから先を生きていく上で、少しでも前向きになれるなら…、後ろばかりを見ないで済むのなら、きっと今回の決闘には大きな意義があったと思う。


円華「あぁ、そうだ…すぅ君は緑色の目をした怪物って表現を知ってるかい?」

すぅ「えっ?」

円華「シェイクスピアの作品の中に出る表現さ。嫉妬程恐ろしいものは無い…ってね。ボクも君も、そんな怪物に踊らされていたんだろうね。」

まい「ふーん…、なら、今回でちゃんとその怪物は倒せたんじゃない?」

円華「…ハハッ、オーナーの言う通りだね。終わり良ければすべて良し、大団円だ。実はこれも彼の言葉なんだよ?」

ロック「知識はネットとかで簡単に調べられこそするものの…、本当の意味はそう簡単には得られないものでござるからな。」

すぅ「ロックさん…。」

シフォン「真面目なセリフもなぜか彼が言うとふざけて聞こえるのですの。」

ロック「あんまりでござる!」


ガチャン。

カフェのドアをまたお客さんが開ける。


まい「さ、休憩終わり。すぅ、挨拶してあげて?」


すぅ「あ…わかった。」

席を立つ。

ふと、此処に来た時にオーナーからかけられた言葉を思い出す。

優しく、私にかけてくれた歓迎の言葉。

今は…、私がその言葉を言う番だ。



すぅ「TCGまいログカフェに、ようこそ!」


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まい「あ、負けたから流石に減給はなしにしとくけど幼女との接触は禁止ね?」

すぅ「ちょっとオーナー!?」

ロック「非常に厳しい条件でござるな…。」

シフォン「丁度いい罰ですの。」

円華「アハハ、いつも通りだね…。」

すぅ「そんなのって、あんまりですぅぅ!」

第四話:裏物語  終

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